コベストロへの出資比率30%未満に、バイエルが支配契約解除

製薬・化学大手の独バイエルは29日、同社から法的に分離した樹脂メーカー、コベストロ株6.9%を売却し出資比率を24.6%に引き下げるとともに、支配契約を解除したと発表した。同社はコベストロ株9.4%を今月中旬に売却し、出資比率を40.9%から31.5%へと引き下げたばかり。今回の措置に伴い7-9月期(第3四半期)からコベストロを財務報告書で非継続事業として取り扱う。

バイエルは経営資源を製薬と農業化学分野に絞り込む方針を打ち出し、収益力の低い樹脂部門をコベストロとして2015年9月に法的に分離。10月に同子会社の新規株式公開(IPO)を実施した。出資比率を徐々に引き下げており、将来的には資本を全面的に引き上げる考えだ。

ドイツの有価証券取得・買収法(WpUeG)29条では出資対象企業の議決権30%以上を持つ場合に「支配(Kontrolle)」が成立すると定義されている。株主総会に出席しない株主が多く、30%以上を保持していれば自らの意に沿った決議を実現できるためだ。

バイエルは今回の株式放出でコベストロ株の保有比率が30%未満に低下したことから、支配解除契約を締結し、コベストロの株主総会で特定の決議権を行使しないことを取り決めた。コベストロは今後、バイエルの影響を脱し、自由に事業を展開できるようになる。

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