ドイツ北部のニーダーザクセン州で15日に実施された州議会選挙で、同州連立与党の社会民主党(SPD)は得票率を大きく伸ばし、19年ぶりに第一党へと返り咲いた。同党はシュルツ現党首(前欧州議会議長)を党首と連邦首相候補に選出した3月以降、州議会と連邦議会(下院)選挙で4回連続、敗北してきたが、今回の勝利でひとまず歯止めがかかった格好。ただ、同州議選の勝利は同州のSPDの活動に起因するもので、国政レベルの活動はほとんど寄与しておらず、同党に全国レベルで勢いが出てきたとは言えない状況だ。
中道左派の大政党であるSPDはニーダーザクセン州議選で得票率を前回(2013年)の32.6%から36.9%へと4.3ポイント拡大した。中道右派の大政党・キリスト教民主同盟(CDU)は36.0%から33.6%へと低下しており、第一党が入れ替わった格好だ。
その他の政党は連立与党のジュニアパートナーである緑の党が前回の13.7%から8.7%へと5.0ポイント低下。中道右派の自由民主党(FDP)も2.4ポイント減の7.5%と振るわなかった。急進左派の左翼党は1.5ポイント伸ばしたものの4.6%にとどまり、議席獲得に必要な5%に届かなかった。また、極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」は6.2%を獲得し、議会進出を果たしたものの、得票率は9月の連邦議会(12.6%)を大幅に下回った。
各党の議席配分はSPDが55、CDUが50、緑の党が12、FDPが11、AfDが9。総議席数は137で、過半数ラインは69となっている。これまで連立を組んできたSPDと緑の党は計67にとどまることから、現政権継続の可能性は低い。AfD以外のすべての党が政権入りする可能性があり、具体的な選択肢としては(1)2大政党であるSPDとCDUの大連立政権(2)SPDと緑の党、FDPの3党からなる「信号政権(三党のシンボルカラー赤緑黄にちなむ)」(3)CDUとFDP、緑の党の3党からなる「ジャマイカ政権(各党のシンボルカラー黒黄緑を合わせるとジャマイカ国旗と同じ配色になることにちなむ)」――の3つが考えられる。