下取りキャンペーン奏功、11月新車登録9.4%増に

ドイツ連邦陸運局(KBA)が4日発表した11月の乗用車新車登録台数は前年同月比9.4%増の30万2,636台となり、同月としては2006年以来の高水準に達した。国内外のメーカーが打ち出した旧型ディーゼル車の下取りキャンペーンが奏功した格好。1〜11月の新車登録台数は前年同期比3.0%増の318万7,312台だった。

ドイツでは窒素酸化物(NOx)の排出量が多いディーゼル車の走行禁止が現実味を帯びていることから、メーカー各社は回避策の一環として旧型ディーゼル車を下取りに出して新車を購入する顧客に大幅な割引を行うキャンペーンを8月に開始した。これを利用して新車を注文する消費者が多いことから、需要が増えている。11月はマイカーとしての登録が前年同期から15.9%増えて全体をけん引。社用・公用車も6.0%拡大した。

11月の新車登録を動力源別でみると、ガソリン車は28.0%増加し、シェアは前年同月の52.7%から61.7%へと拡大した。ディーゼル車は走行規制懸念を受けて17.0%減少。シェアは前年同月の44.9%から34.0%へと10ポイント以上、落ち込んだ。

電気自動車(EV)の新車登録台数は約2.5倍の3,031台、ハイブリッド車(HV)は79.4%増の8,662台だった。EVとプラグインハイブリッド車に購入助成金が支給されることが大幅増の背景にある。

新車の走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は127.8グラムで、前年同月を1.1%上回った。排気量が大きいSUVの新車登録が31.7%増と大幅に伸びたことが響いた格好だ。

伸び率が最も大きかったブランドはEV専門のテスラで、前年同月比98.5%増の262台に拡大した。これにプジョー(72.4%増の8,635台)、ダチア(53.4%増の5,856台)、レクサス(47.1%増の303台)が続く。

ドイツ車ではスマート(20.4%増の3,928台)、フォード(17.4%増の2万1,972台)、ミニ(13.2%増の3,812台)、アウディ(12.0%増の2万2,949台)が2ケタ増となり、VWも8.2%増の5万8,209台と好調だった。オペルは2.6%増の1万9,820台、ポルシェは0.8%増の2,443台、メルセデスは0.6%増の2万8,687台で、BMWは1.6%減の2万1,960台とやや落ち込んだ。

レクサス以外の日本車ではマツダが30.0%増の5,376台、スバルが12.8%増の591台と2ケタ台の伸びを記録。スズキ(7.9%増の3,116台)とトヨタ(2.5%増の6,804台)も前年同月を上回った。三菱(7.4%減の2,884台)、日産(9.6%減の4,992台)、ホンダ(11.4%減の1,618台)は減少した。

日本車以外の主な輸入ブランドではアルファロメオ(43.4%増の578台)、双竜(38.7%増の319台)、セアト(26.3%増の1万2,689台)、起亜(24.5%増の5,430台)、ジープ(21.9%増の1,349台)、シトロエン(20.0%増の4,389台)、シュコダ(11.9%増の1万7,687台)が2ケタ増となり、現代(7.6%増の9,275台)、ランドローバー(5.0%増の1,962台)、ボルボ(2.9%増の3,686台)、フィアット(1.2%増の5,281台)、ルノー(1.0%増の1万3,136台)、ジャガー(0.4%増の737台)も増加した。DSは28.5%減の279台と大きく落ち込んだ。

一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した11月の国内乗用車生産台数は57万9,600台で、前年同月を8%上回った。11月の数値には棚卸の関係で捕捉できなかった10月の数値が混じっていることから、増加幅が実際よりも大きい。輸出台数も同じ理由から6%増の43万7,900台へと膨らんだ。

1〜11月の累計は生産台数が前年同期比2%減の約530万台、輸出台数が1%減の約410万台だった。

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