BASFが石油・ガス事業の合弁化で基本合意

化学大手の独BASFとロシア系投資会社レターワンは7日、それぞれの石油・天然ガス事業を合弁化することで基本合意した。ポートフォリオの最適化やシナジー効果を通して安定的に利益を確保できる体制を構築する考え。今後は資産査定を経て最終合意し、合弁化手続きを来年下半期に完了する計画だ。

BASFは子会社ヴィンタースハルを通して石油・天然ガス事業を展開している。欧州、北アフリカ、ロシア、南アフリカ、中東で採掘を実施。欧州でのガス輸送事業も露ガス大手ガスプロムと共同展開している。ヴィンタースハルの昨年の売上高は約28億ユーロで、営業利益(EBITDA)16億ユーロを計上した。

レターワンはロシアの資産家ミハイル・フリードマン氏が運営する投資会社。独エネルギー大手RWEの石油・天然ガス採掘子会社DEAを2015年に51億ユーロで買収し、同分野へと参入した。DEAはドイツ、ノルウェー、デンマーク、エジプト、アルジェリア、メキシコで採掘事業を展開している。昨年の売上高は15億ユーロで、EBITDAは6億1,400万ユーロだった。

BASFとレターワンはヴィンタースハルとDEAを統合し、新会社ヴィンタースハルDEAを設立する。出資比率は当初BASFが67%、レターワンが33%。同出資比率にはヴィンタースハルのガス輸送事業が反映されていないことから、新会社は発足の時点で同事業相当額の転換社債をBASF向けに発行する。同転換社債はそれから3年以内に新会社の株式へと転換されることから、BASFの出資比率は最終的に67%を超える。

ヴィンタースハルDEAは売上高が43億ユーロ、EBITDAが22億ユーロ、年産量が2億1,500万石油換算バレル(すべて2016年実績に基づく計算)で、欧州有数の独立系石油・ガス採掘会社となる。社長はBASF、副社長はレターワンがそれぞれ指名。本社はカッセル(ヴィンタースハルの本社所在地)とハンブルク(DEAの本社所在地)に設置する。

出資2社は中期的にヴィンタースハルDEAの新規株式公開(IPO)を実施する考え。時価総額は最大140億ユーロに達すると目されている。

BASFは化学メーカーでありながら、1960年代末から石油・天然ガス事業を展開してきた。投資家からは同事業の分離を求める声が以前から出ているものの、同社は化学事業が低迷した際に相殺機能があるとして否定的な立場を取ってきた。IPOを行うと、同事業から撤退しやすくなることから、市場には今回の取引をその準備と見なす向きもある。

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