ドイツ連邦陸運局(KBA)は8日、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)に対しクロスオーバーSUV「トゥアレグ」のリコール(無料の回収・修理)を命じた。違法なソフトウエアの搭載がKBAの調査で確認されたため。VWはすでに修正ソフトを作成しKBAの認定を受けており、修理を行える状況にある。
欧州排ガス基準「ユーロ6」に対応した3.0リットルエンジン搭載のディーゼル車に違法なソフトが搭載されていた。同モデルでは台上試験と路上走行の違いを認識し、台上試験でのみ排ガス浄化システムが適切に働くようにソフトで設定されている。尿素SCRシステム搭載車ではこれに加えて、有害な窒素酸化物(NOx)を無害な窒素(N2)と水(H2O)に変換するアドブルーが適切に利用されないよう、ソフトで設定されていた。
リコールの対象となるのは2014〜2017年式のモデルで、ドイツで2万5,800台、世界全体では5万7,600台が該当する。
トゥアレグの違法ソフト搭載疑惑は今夏に浮上した。同モデルと車体を共有する子会社ポルシェの「カイエン」に対しアレクサンダー・ドブリント交通相(当時)が7月下旬、リコールを命じたためだ。KBAはこれを受けて独自調査を実施し、トゥアレグの不正を突き止めた。
VWグループでは大規模な排ガス不正問題が2015年9月に発覚し、これまでに引当金251億ユーロを計上した。問題の山場はすでに越えたものの、違法ソフト搭載の新たな事実は現在に至っても散発的に発覚している。