中道左派の独2位政党・社会民主党(SPD)は15日の役員会で、中道右派の第一党であるキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と次期政権に関する予備交渉を行うことを決議した。マルティン・シュルツ党首は役員会後の記者会見で、「可能な限り安定した政府」の実現が協議の狙いだと発言。次期政権の安定を最重視する姿勢を打ち出した。その一方で、「安定政権のモデルは複数ある」とも述べ、連立以外の方法で次期政権に協力する可能性もあるとの立場を強調した。
役員会では交渉日程案も取り決めた。それによると来週(18〜24日)中に予備交渉の方式をSPD、CDU/CSUとトップが協議。年明け早々に予備交渉を開始し、1月第2週までに完了する。SPDはその後、臨時党大会を開催し、本交渉入りするかどうかを決定する。このため次期政権が成立するのは早くても3月になる見通しだ。
SPDは協力のあり方として(1)CDU/CSUと大連立政権を樹立する(2)野党としてCDU/CSUの少数与党政権に閣外協力する(3)次期政権に閣僚を送り込むものの、CDU/CSUとの協力は特定分野に限定し、それ以外の分野でCDU/CSUが法案を実現したいのであれば、SPD以外の党に協力を求める(いわゆるココ・モデル)――の3つのモデルを描いている。党内には、(2)と(3)の方式であれば中道左派のSPDらしさを強く打ち出せるとの考えがある。ただ、CDU/CSUはこれら2方式を拒否しており、両党が合意できる方式は現時点で(1)の大連立に限られる。
有権者の間では大連立支持が広がっている。公共放送ARDの最新世論調査によると、両党の連立を支持するとの回答は61%に達し、1週間前の45%から16ポイントも上昇した。少数与党政権の支持は34%にとどまる。