高級車大手のBMWが中国のリチウムイオン電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)に電動車用電池セルを発注する。BMWのハラルド・クリューガー社長が『ハンデルスブラット』紙に明らかにしたもので、取引規模は数十億ユーロと大きい。同紙によると、CATLはこれを受けて独中部のエアフルトに電池セル工場を建設するという。
BMWは同社初の自動運転機能付き電気自動車(EV)「iネクスト」を2021年に市場投入する計画で、CATLから調達するセルを独南部のディンゴルフィングにある工場でiネクストに搭載する考えだ。
電動車用電池の分野では日韓中メーカーの競争力が高く、欧州の自動車メーカーはセルをアジア企業から調達している。だが、電動車が今後、本格的に普及するなかで電動車の価値の最大40%を占める電池分野でアジア勢に大きく依存することは、欧州メーカーの競争力低下につながる懸念がある。
欧州連合(EU)の欧州委員会はこうした事情を踏まえて昨年、電動車用電池セルを欧州企業が手を組んで生産する「汎欧州企業連合」構想を打ち出した。米ボーイングに対抗するため仏独英スペインの航空機メーカーが共同で立ち上げたエアバスをモデルとして想定している。
だが、現時点では欧州企業がセルを量産する見通しが立っていないことから、BMWはCATLからの調達を決めた。クリューガー社長は、欧州企業が設立する企業連合に競争力があれば調達先候補となり得るが、現状では難しいとの認識を示した。