自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は2日、グループ全体の部品事業を統括する新部門を設立すると発表した。電気自動車(EV)の今後の普及で車の部品点数が減ることを見据えた措置。事業効率の引き上げと投資の最適化を通して競争力を高め、雇用を維持する考えだ。
来年1月に部品の開発と製造を統括する新部門「フォルクスワーゲン・コンツェルン・コンポネンテ」を設立する。同部門は拠点数が56カ所、従業員数が8万人に上り、世界有数のサプライヤーとなる。
VWではこれまで、計12あるブランドがそれぞれ部品事業を統括してきた。このためブランド間の連携がなく、例えば独ザルツギター工場では専らVWブランド向けの部品、ハンガリーのジェール工場では専らアウディ用のエンジンが生産されている。
VWはグループ全体の主要部品事業を新部門に統合することで業務の無駄を省き、コストを削減する。統括責任者にはVWブランド乗用車のトーマス・シュマル取締役(部品事業担当)が就任する。
同部門は「エンジンと鋳造部品」「トランスミッションと電動パワートレイン」「シャシー」「Eモビリティ」「シート」の計5系統で構成される。各系統の統括責任者はブランドと地域を横断する形で世界各地の拠点を統制。開発、調達、生産計画などの活動を緊密に連携させて競争力を強化していく。樹脂部品事業はVWブランド乗用車の組み立て事業に組み込まれる。
経済紙『ハンデルスブラット』が昨秋、VW関係者の情報として報じたところによると、新部門はグループ外の自動車メーカーに部品を供給することも視野に入れている。グループ外の企業に製品を販売できれば、EVの普及で車両の部品数が減っても雇用を維持できる可能性が高まる。