PSAがオペルのR&D事業を部分売却か

仏自動車大手PSAが独子会社オペルの研究・開発(R&D)事業を部分売却するとの観測が浮上している。仏『ルモンド』紙が報じたもので、計4分野のR&D事業の売却に向けてすでに仏オルトラン、AKKA、SEGULA、独ベルトラントの4社に打診を行ったという。オペルは4日の声明で、R&D分野で戦略パートナーシップを締結する可能性があることを明らかにしたものの、売却観測については言及を避けた。

オペルは米ゼネラル・モーターズ(GM)の子会社だったが、昨年8月にPSAが買収した。オペルは過去20年間、ほぼ一貫して赤字経営が続いていることから、11月に業績改善計画を発表。PSAへの傘下入りに伴うシナジー効果を調達から販売に至るすべての事業過程で引き出す方針を打ち出した。まずは2020年までに年11億ユーロを実現し、黒字転換を図る計画で、その実現に向けた枠組み協定をドイツの従業員と5月末に締結した。

オペルのミヒャエル・ローシェラー社長は、独リュッセルスハイムにあるオペルの開発拠点では今後も全オペル車の開発を担当すると強調したうえで、GM向けの開発業務がなくなったことから、戦略パートナーシップに踏み切る可能性があると述べた。

ルモンド紙によると、PSAが売却を検討するR&D事業の時価総額は計5億ユーロに上る。

ペーター・アルトマイヤー経済相はオペル労使の交渉が難航していた4月に、「(同社の)研究開発は今後もドイツで行われるべきだ」と発言した。今回の部分売却報道を受けて経済省は「成り行きを注視していく」ことを明らかにした。

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