BASFが中国に100%傘下の工場建設へ

化学大手の独BASFは9日、基礎化学品から川下までの幅広い製品を手がける総合生産施設(フェアブント拠点)を広東省に建設することで同省政府と基本合意した。同拠点は現地企業と合弁を組まず、BASFが100%子会社として運営する。ベルリンで行われた趣意書の調印式にはドイツのアンゲラ・メルケル首相と中国の李克強首相が立ち会った。

同社史上最大の100億ユーロを投じて、広東省内にフェアブント拠点を建設する。2030年に完成する予定。2026年までに操業を開始し、順次、施設を増やしていく。

同拠点の設置都市は未定。クウェート国営石油会社の製油所がある港湾都市湛江が有力視されている。

BASFは同拠点にスチームクラッカーを設置して、様々な化学品の基礎原料となるエチレンを生産(年産能力100万トン)。また、エチレンを用いた川下製品も製造し、自動車や消費財、建設業界向けに供給する。広東省にはこれらの産業が集積していることから白羽の矢を立てた。

外資が中国で生産事業を行うためにはこれまで、現地企業と合弁会社を設立しなければならなかった。同国政府は欧州連合(EU)などの批判や米トランプ政権の強硬な対中通商政策方針を受けて先ごろ、同合弁規制を緩和したことから、BASFは完全傘下の工場を同国に建設する。

同社はフェアブント拠点を独ルートヴィヒスハーフェン、ベルギーのアントワープ、米フリーポート、米ジェイズマー、マレーシアのクアンタン、中国の南京の計6カ所に持つ。南京拠点は中国石油化工との折半出資会社として2000年に開設された。広東省に新設予定の拠点はルートヴィヒスハーフェン、アントワープに次いで3番目に大きな拠点となる。

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