ドイツはこれまでに引き続き今年も世界最大の経常黒字国となる見通しだ。Ifo経済研究所が20日発表した試算によると、今年の経常黒字は2,990億ドル(2,640億ユーロ)となり、2位の日本(同2,000億ドル)を大幅に上回る。3位はオランダで1,100億ドル。これまでトップ3に入っていた中国は貿易黒字の減少と、国外資産から生じる純収入の減少が響いて順位を下げた。
ドイツが巨額の経常黒字を計上するのは貿易収支の黒字幅が大きいためで、今年は同黒字が2,650億ユーロに上る見通しだ。特に欧州連合(EU)加盟国、米国との取引で同黒字が大きい。
国外資産から生じる純収入も630億ユーロに上る。一方、国際協力などに伴う費用は経常黒字を450億ユーロ押し下げ、サービス収支の赤字も180億ユーロの圧迫要因となる。
経常黒字の対国内総生産(GDP)比率は昨年の7.9%から7.8%に低下するものの、水準は依然として高い。EUの欧州委員会は同比率で6%超が持続すると域内の経済的な安定が損なわれるとしているが、ドイツは7年連続で6%を上回ることになる。米トランプ政権もドイツの経常黒字を強く批判しており、国際的な風当たりは一段と強まりそうだ。米国は最大の経常赤字国で、今年の赤字幅は4,200億ドルに達する見通し。
Ifoは日本の経常黒字の対GDP比率を4.0%、オランダを同12.0%と見込んでいる。米経常赤字の対GDP比率については2.2%を予想する。