独銀最大手のドイツ銀行は23日、モバイル決済分野の有力スタートアップ企業である米モード・ペイメンツ(Modo Payments)に資本参加したと発表した。決済事業を強化する考え。出資額や出資比率など取引の詳細は公表しないことで合意した。『ハンデルスブラット』紙によると、出資額は千万ユーロのケタ台の前半、出資比率は10%弱。
モードは2010年の設立。すでにバンク・オブ・アメリカなどの大手金融機関と協業している。
ドイツ銀はモードの技術を用いることで、企業間(B2B)、企業・消費者間(B2C)向けデジタル決済サービスの幅を拡充。支付宝(アリペイ)、ペイパル、Mペサ、微信(ウィーチャット)など非銀行系プラットホーム上での決済を行えるようになる。トランザクション・バンキング事業を統括するジョン・ギボンズ氏は、モードとの協業により「わが行はウォレット(スマホを用いた決済システム)とアプリベースの支払いソリューションでの取引を顧客企業・機関投資家向けに直接、行えるようになる」と述べた。
独自のプラットホームでモバイル決済サービスを提供するIT企業は伝統的な決済サービスを提供する銀行の基盤を掘り崩す恐れがある。例えばドイツの大手輸出企業がモバイル決済を利用して事業リスクの高い新興国の企業との取引を行うことも考えられるためだ。ドイツ銀は自らのテリトリーをIT企業に奪われないようにするために、モードとの協業に踏み切った。