独流通大手メトロの筆頭株主である複合企業ハニエルは24日、メトロの普通株7.3%をチェコとスロバキアの投資家が新設した投資会社EPグローバル・コマース(EPGC)に売却することで合意したと発表した。メトロへの依存度を引き下げ、投資リスクを軽減することが狙いで、出資比率を22.5%から15.2%へと引き下げる。EPGCはハニエルが保有する残りのメトロ株を最大15.2%取得するオプション権も獲得しており、将来的にメトロの筆頭株主となる見通しだ。取引金額は公表しないことで合意した。
EPGCはチェコの投資家ダニエル・クレチンスキー氏とスロバキアの投資家パトリック・トカシュ氏が6月にドイツで設立した投資会社。出資比率はそれぞれ53%、47%となっている。メトロ株9.9%を保有する3位株主の独家電流通大手セコノミーは27日、クレチンスキー氏傘下の投資会社EPインベストメントに同株およそ8.9%を売却する方向で交渉していると発表しており、メトロへの両氏の出資比率は最終的に計30%を超える公算が高い。
クレチンスキー氏はチェコ電力事業大手EPHのオーナー兼社長。EPHは2016年、スウェーデン国営エネルギー大手のバッテンフォールがドイツ東部で運営する褐炭採掘・発電事業を投資会社PPFインベツトメンツなどと共同で買収した。トカシュ氏はスロバキアの金融大手J&Tのオーナー。両氏は中東欧を中心に投資活動を共同で行っている。
メトロ(旧メトロ)は17年、会員制卸売事業(キャッシュ・アンド・キャリー)を手がけるメトロと郊外型大型食品小売チェーンのレアルからなる新会社「メトロ」と、家電販売会社「セコノミー」へと分割された。ハニエルは保有するセコノミー株25%については売却方針を示していない。