温室ガス不使用のガス絶縁開閉装置開発へ、シーメンスが韓社と協業

電機大手の独シーメンスは30日、温室効果ガスである六フッ化硫黄(SF6)を用いないガス絶縁開閉装置(GIS)を共同開発することで、韓国の電機大手イルジン・エレクトリックと合意したと発表した。環境に優しいGISを製造・販売することで、顧客の電力会社の負担を減らす考え。世界初の170キロボルト(kV)級SF6フリーGISの実現を目指す。

GISは電力の安全・安定供給のために変電所設備・受電設備として設置される機器。絶縁媒体には通常、絶縁・電流遮断性能が高いSF6が使用される。ただ、SF6は二酸化炭素(CO2)の何倍の温室効果を持つかを示す地球温暖化係数(GWP)が2万3,900と極めて高いことから、温暖化防止排出抑制対象ガスの1つに指定されている。

こうした事情を背景にSF6を用いないGISの需要が高まっており、シーメンスはすでに145kV級までのSF6フリーGISの開発に成功している。

同社のGISではSF6の代わりに、特殊処理を施した空気である「クリーンエア」を絶縁媒体として投入する。これにより温暖化防止に貢献できる。また、絶縁媒体が漏れ出ないようにするための手間ひまが不要なことから、電力会社の負担も軽減できる。

シーメンスのセドリック・ナイケ取締役(アジア・太平洋地区、エネルギー管理担当)は「イルジン・エレクトリックと共同で環境に優しい170kV級GISを韓国で開発・製造できることをとても嬉しく思う」と発言。イルジンのJung-Suk Huh最高経営責任者(CEO)は「環境に優しい製品に対する韓国の需要を満たすことが可能になる」と述べた。

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