自動車大手のダイムラー、航空部品製造のプレミアム・アエロテック、積層造形装置(3 Dプリンター)を手がけるEOSの独3社は31日、積層造形(AM)の量産技術確立に向けたパイロット設備の稼働を開始したと発表した。今後は同設備でデータを収集して分析。3Dプリンターを用いたアルミ部品の量産を実現する目標だ。
3社は昨年5月、次世代積層造形技術を確立するためのプロジェクト「NextGenAM」を立ち上げた。金属粉末の供給から造形後の後処理までの一連の生産工程を自動化することにより、生産コストの低減と量産化の可能性を探る。積層造形では、実際の造形工程の前後のプロセスが生産コストの約70%を占める。
3社は独北西部のファーレルにあるプレミアム・アエロテックの技術センターにパイロット設備を設置した。積層造形とその前後の工程が全面自動化されている。EOSのトビアス・アーベルン最高技術責任者(CTO)は、「AM製造工程を自動化された生産ラインに統合することは画期的なことだ」と明言した。
EOSは今回のプロジェクトで、4機の高出力レーザーを搭載した積層造形装置「EOS M 400-4」を提供している。ダイムラーは経済性を重視した量産工程や、自動車向けの材料・品質に関するノウハウを提供する。プレミアム・アエロテックは3Dプリンターで製造した構造部品をすでにエアバスの航空機向けに供給している。