格付け大手がフランクフルト拠点を大幅拡大

格付け大手のフィッチとムーディーズがフランクフルト拠点の人員を大幅に拡大する。英国の欧州連合(EU)離脱を見据えた措置。欧州証券市場監督機構(ESMA)が域内企業の格付けをEU内の拠点で行うことを強く求めていることから、両社はそれぞれ従業員をロンドンから配置転換するほか、現地採用を実施する。日曜版『フランクフルター・アルゲマイネ(FAS)』紙が報じた。

フィッチの独事業を統括するクレメンス・フレッヒ氏は「わが社はフランクフルトで継続して新たな人員を採用し、さらなる増強を目指していく」と明言した。今年だけですでに30人を新規採用し、同拠点の従業員数を約2倍に拡大した。今後の増員の規模についてはESMAとの協議、および英国のEU離脱の条件・方法によって異なってくると指摘。「ハードブレグジットの場合はフランクフルトの従業員数が最も多く増えるだろう」と述べた。EUに残留するドイツ以外の加盟国でも従業員数を増やしている。

ムーディーズはフランクフルトの従業員数を、ブレグジットの是非を問う英国民投票が行われた2年前の約80人から140人以上へと拡大した。同市を「重要で成長する拠点」と位置づけており、最終的には従業員を少なくとも2倍へと増やす見通しだ。今年は首都ベルリンにロビー活動拠点を開設した。

FAS紙によると、ESMAはEU域内企業の格付けを行う格付け会社に対し域内拠点で格付けを行うよう要求。格付け各社との協議で、単に域内に事業拠点を置くだけでなく、ロンドンから移管すべき業務と配置転換すべき人材について具体的な意見を提示しているという。域内にはトップマネージャーを配置するとともに、コントロール・コンプライアンスシステムも設置しなければならないという立場だ。

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