ミュンヘン再保険は4日、産業IoT分野のスタートアップ企業である独リレール(Relayr)への出資比率を現在の約15%から引き上げ完全買収することで合意したと発表した。リレールの技術とミュンヘン再保険が持つリスク管理などのノウハウを組み合わせることで顧客向けの新たなソリューションを開発するとともに、新規の事業モデルを構築。製造業のIoT化に伴って生まれる事業チャンスを掘り起こしていく考えだ。
子会社ハルトフォード・スチーム・ボイラー(HSB)を通してリレールを買収する。取引金額は3億ドル。当局の審査を経て4〜6カ月後に買収手続きが完了すると見込んでいる。
リレールはベルリンに本社を置く2013年設立の企業。事業のIoT化(インダストリー4.0化)に取り組むメーカーにコンサルティングから実行・運営までの幅広いサービスを提供している。また、各種データの解析を通して顧客企業が故障の予知や予防保全、生産工程や製品の改善を行えるようにしている。ドイツ、米国、英国、ポーランドに事業拠点を計7カ所、持っており、従業員数は約200人に上る。
ミュンヘン再保険は16年、同社に資本参加した。今後はリレールの技術とミュンヘン再保険が持つリスク管理、データ解析、金融・保険分野のノウハウや資金力を組み合わせることでより包括的なサービスを提供できるようにする。
リレールの顧客はこれまで主に中小企業に限られていた。今後はミュンヘン再保険の顧客である大企業へのアクセスも可能になる。