ドイツのペーター・アルトマイヤー経済相とポーランドのヤドビガ・エミレビチ企業・技術相は5日ワルシャワで会談し、車載電池の研究開発と生産で両国の官民が協業することについて協議した。欧州連合(EU)の欧州委員会は電動車用電池の生産でアジア勢に対抗するために、関連分野の企業が参加する汎欧州企業連合を創設する構想を打ち出しており、これを踏まえて2国間でその可能性を模索していく。他国企業の参加も受け入れる姿勢を示しており、両国の取り組みを汎欧州企業連合実現の土台とする考えだ。
現在主流の車載電池であるリチウムイオン電池の分野では日韓中のメーカーが市場を分け合っており、欧州の自動車メーカーはセルの供給をこれら3国の企業から受けている。だが、電動車の価値の最大40%を占める電池分野でアジア勢に大きく依存することは、欧州の産業競争力低下につながる懸念があることから、欧州委は昨年10月、米ボーイングに対抗するため仏独英西の航空機メーカーが共同で立ち上げたエアバスをモデルとした車載電池の欧州企業連合構想を提示した。次世代電池の本命と目される全固体電池に照準を合わせている。
民間レベルでは自動車部品大手のボッシュが電池セル事業への不算入方針を決めたものの、競合コンチネンタルは参入の可能性を模索。自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は米国のスタートアップ企業クアンタムスケープと共同で合弁会社を設立し、全固体電池の量産を2025年までに実現する目標だ。
独・ポーランドの車載電池協業に参加する企業は明らかにされていない。アルトマイヤー経済相は多くの企業が関心を示していると述べるにとどめた。
ポーランドは車載電池の産業立地拠点としてすでに有力な地位を獲得しており、現地バスメーカーのソラリスは電動バスを製造。ドイツの公共交通機関にも供給している。VWはポズナニ近郊のヴジェシニャ工場で大型バン「クラフター」のEVモデルを生産する計画だ。LG化学はポーランドの電池工場建設に総額13億ユーロを投資する。ベルギーの触媒大手ユミコアは同国南西部のニサに電池正極材工場を20年までに立ち上げる。