VWを消費者保護団体が提訴へ、ディーゼル排ガス不正で損賠請求

独消費者センター全国連盟(vzbv)は12日、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)を相手取って集団代表訴訟を起こすと発表した。違法なソフトウエアを搭載したVWグループ車の購入者が損害賠償を受け取れるようにする狙いで、ドライバーのサポート組織である全ドイツ自動車クラブ(ADAC)の協力を受けて裁判を起こす。集団代表訴訟制度が発効する11月1日付で提訴する意向だ。

欧州では企業が違法行為を犯した場合の消費者保護が米国と比べて不十分なことが、2015年に発覚したVWの排ガス不正問題を機に浮き彫りとなった。VWグループのディーゼル車を購入した米国の顧客が多額の補償金や返品の権利を獲得したのに対し、欧州の顧客はソフトの再インストールを受けるにとどまったためだ。

欧州連合(EU)の欧州委員会はこれを念頭に4月、消費者保護の強化策を発表。EU全域で消費者団体が集団代表訴訟を起こせるようにする法案を公表した。ドイツでも同様のルール導入に向けて法律が制定され、11月から施行されることになっている。

銀行や電力会社が不当な値上げを行っても、ほとんどの消費者はそれを甘受し、裁判を起こすことはない。勝訴しても得られる金額が少ないうえ、敗訴した場合のリスクが大きいためだ。こうした泣き寝入りが起こらないようにするために、集団代表訴訟制度が導入される。

裁判を起こせるのは認証を受けた団体。認証団体は◇10人以上の消費者が問題に該当していることを明らかにする◇訴訟意向の公表後2カ月以内に、法務庁の訴訟登録簿に当該消費者が50人以上、登録する――の2条件を満たせば提訴できる。登録は無料で、期限は第一回目の口頭弁論までとなっている。

集団代表訴訟は和解ないし判決で終了することになる。消費者は裁判費用を負担しないため、敗訴しても家計が圧迫される恐れがない。

vzbvは「EA189」というディーゼルエンジンを搭載するVWブランド乗用車、アウディ、シュコダ、セアトの車両を購入した消費者に登録を呼びかけている。該当車両を2008年11月1日以降に購入した消費者であれば登録できる。

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