8月VW販売6.8%増加、欧州はWLTPで需要前倒し

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)が14日発表した8月のグループ新車販売台数は前年同月比6.8%増の87万5,300台へと拡大した。欧州連合(EU)の排ガス規制が9月から強化されることを受けて、新規制に対応していない車両を割引販売したため、欧州が21.0%増の32万7,700台へと大きく拡大。全体が押し上げられた。販売事業を統括するフレート・カップラー氏は、9月と10月は反動で販売が落ち込むとの見方を示した。

EUでは排ガス検査方式が従来の「新欧州ドライビングサイクル(NEDC)」から「世界統一試験サイクル(WLTP)」へと切り替えられ、WLTPをクリアしない車両は9月1日から新車登録できなくなった。VWはWLTPへの対応で後手に回っており、NEDC対応の旧型車両を8月末までに駆け込み販売した。

これを受けて8月の欧州販売台数は前年同月比21.0%増の32万7,700台へと大幅に拡大。増加幅はスペインで54.2%、フランスで39.1%、英国で32.2%に達した。欧州最大市場のドイツも15.3%増の10万4,000台と2ケタ台の伸びを記録している。西欧は22.0%増の26万2,900台、中東欧は16.9%増の6万4,800台だった。

南米も11.0%増の5万5,100台と好調だった。同地最大の市場であるブラジルが30.0%増の3万8,600台と急拡大したことが大きい。

北米は4.1%減の8万5,100台となり、主要地域で唯一落ち込んだ。メキシコ市場の低迷が響いた格好。主力の米国は1.1%増の5万7,500台へと拡大した。

アジアは0.6%増の38万1,500台と小幅な伸びにとどまった。主要市場の中国が0.3%減の35万2,500台へと落ち込んだことが響いた。VWは同月の中国販売について、7月1日付の輸入車関税引き下げを見越した買い控えの影響がなおも続いているためと説明している。

ブランド別では乗用車のセアト(38.9%増の4万1,300台)、ポルシェ(23.0%増の2万3,500台)、アウディ(10.9%増の15万3,900台)と商用車のMAN(21.0%増の1万1,200台)が2ケタ台の伸びを記録。シュコダ(6.6%増の9万1,800台)、VWブランド乗用車(3.7%増の51万3,300台)、商用車のスカニア(6.4%増の6,000台)も前年同月を上回った。VWブランド商用車は4.1%減の3万5,000台となり、主要ブランドのなかで唯一、落ち込んだ。

1〜8月のグループ販売台数は730万2,500台で、前年同期から7.5%増加した。南米(13.3%増)と中東欧(12.0%増)は2ケタ台の伸びを記録。西欧(9.5%増)とアジア(6.8%増)も好調だった。北米は0.2%減少したものの、米国は5.7%拡大した。ブランド別ではMANが23.1%増、セアトが21.9%増、シュコダが11.4%増、スカニアが7.6%増、ポルシェが6.8%増、VWブランド乗用車が6.2%増、アウディが5.5%増、VWブランド商用車が3.9%増だった。

VWは8月までの販売が好調だったことを受けて、WLTPへの変更に伴う今後の販売減が18年通期販売にもたらす影響は緩和されるとの見方を示した。

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