独英資本の半導体大手ダイアログ・セミコンダクターは11日、主要顧客の米アップルに特許の一部を譲渡するとともに、同社の技術者300人強がアップルに移籍することを取り決めたと発表した。アップルへの依存度を引き下げるほか、アップルと安定的な事業関係を保てるようにする狙いだ。
今回の取引でダイアログはアップルから総額6億ドルを取得する。そのうち3億ドルはアップルが今後3年間、同社から調達する半導体チップの前払い金となる。
ダイアログは「iPhone」などアップルの製品向けに電力制御用チップを供給するサプライヤーで、売り上げの4分の3をアップルとの取引で獲得している。だが、アップルがチップの内製化を進めていることから、アップルとの取引は今後、大幅な縮小が予想される。
同社はこれを踏まえ、アップル向けチップ事業の関連特許と技術者をアップルに譲り渡すことにした。アップルに今後供給するチップはオーディオや充電ケーブル用など電力制御以外の分野に絞り込む。これによりアップルとの取引の売上比率は2022年以降、35〜40%に低下する見通しだ。
ダイアログはこれと並行して自動車、IoT向けチップ事業を強化し、アップル以外の企業との取引を拡大していく。