物資を河川経由で輸送する企業が頭を抱えている。記録的な猛暑は去ったものの、秋になっても雨が少ないことから水位が一段と低下し、船舶の航行に支障が出ているためだ。化学大手のBASFは17日、ライン川に面したルートヴィヒスハーフェン本社工場の生産量を引き下げていかざるを得ないことを明らかにした。
ドイツでは今年、年初から降水量が極めて少なく、平均降水量は毎月、平年を下回っている。7月と8月はともに1平方メートル当たり40リットルで、平年のほぼ半分。9月も平年の61リットルに対し45リットルにとどまった。
素材系の企業は原料や製品の多くを河川経由で輸送している。このため水位低下の影響は特に大きい。BASFは鉄道、トラックなど他の輸送手段を拡充しているものの、代替輸送能力に限界があることから、生産量を引き下げざるを得ない状況だ。広報担当者は一部の重要な製品で供給能力が低下していることを明らかにした。
鉄鋼大手のティッセンクルップは生産に必要な鉄鉱石と石炭を確保するため、ロッテルダム〜デュースブルク間の船舶投入量を増やしている。低水位で船舶に貨物をフルに積み込めないためだ。
ライン川の水位はデュースブルク・ルーロルト地区で18日午前5時現在、166センチメートルとなり、前日同時から4センチ低下した。12日同時に比べると20センチも低くなっている。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、貨物を満載した全長110〜130メートルの船舶が走行するためには最低340〜380センチの水位が必要という。
晴天の影響は発電所にも出ている。風力が弱く風力発電の量が極めて少ないことから、石炭発電所をフル稼働させなければならないにもかかわらず、水位不足で燃料の確保が難しくなっているためだ。石炭発電のシュテアクは備蓄の取り崩しを検討している。