独ティッセンクルップの昇降機子会社ティッセンクルップ・エレベーターは18日、現実空間と仮想空間を混合し、現実のモノと仮想的なモノがリアルタイムで影響しあう新たな空間を構築する複合現実(MR)ソフト「ホロリンク」を階段昇降機の営業提案に本格導入すると発表した。同ソフトの活用により階段昇降機の設置前の時点で顧客が設置後の可視的なイメージを持てるようにするとともに、納期を大幅に短縮する考えだ。
ホロリンクを米マイクロソフト、スイスのIT企業ツゥールケ・エンジニアリングと共同開発した。マイクロソフトのヘッドセット型MRデバイス「ホロレンズ」に搭載して利用する。
営業担当者は顧客宅の初訪問時にまず、ホロレンズとホログラムを用いて正確な測定を実施。個々の顧客の人間工学的なデータや、各導入先が持つ特有の障壁といった情報とともにマイクロソフトのクラウドプラットホーム「アジュール」に送信し、最適な製品を選択する。これにより、ほぼリアルタイムで設置イメージを可視化したり、見積もりを提示することが可能となるため、発注プロセスを数時間で終了できる。通常40〜70日かかる納期も最大4分の1まで短縮し14日程度に抑えることが可能だ。
同社のアンドレアス・シーレンベック最高経営責任者(CEO)は、「階段昇降機は、急に必要になるものです。もし早急に解決策をご提供できれば、お困りのお客様に大きな安心感と快適さをもたらすことができ、結果的にお客様の生活の質向上にもつながります」とMRソフト活用の効果を説明した。
ホロリンクはオランダで試験導入された。導入実績は300件を超える。今月からは英国、ドイツ、ベルギー、フランス、イタリア、スペイン、フランスでも導入。来年には日本とノルウェーにも拡大する計画だ。