独複合企業ティッセンクルップは8日、2018年9月通期の純利益見通しを下方修正した。子会社のカルテル容疑に絡んで引当金を計上するためで、前期実績の2億7,100万ユーロを「大幅に上回る」としていた従来予測を1億ユーロへと引き下げた。
同社は18年9月期の営業利益(EBIT)も従来の18億ユーロから16億ユーロへと下方修正した。最終四半期の7〜9月に◇自動車部品の品質問題に絡んで引当金を計上する◇ライン川の水位低下で河川輸送に支障が出たため、鉄鋼の生産・出荷が減少した◇エレベーター事業の業績が予想を下回った――ことが原因だと説明している。
ティッセンの鉄鋼子会社ティッセンクルップ・スティール・ヨーロッパは圧板、炭素鋼平板の分野で同業者などと違法なカルテルを結んでいた疑いを持たれており、独連邦カルテル庁が現在、調査を進めている。
ティッセンはティッセンクルップを印タタ製鉄の欧州事業と統合する予定。ティッセンとタタは合併前の事業リスクにそれぞれが責任を負うことで合意しているため、ティッセン・スティール・ヨーロッパがカルテル制裁金を科されても、合併後に新会社に負担は生じない。