電池セル工場を政府が助成、総額10億ユーロに

ドイツのペーター・アルトマイヤー経済相は13日、ベルリンで開催された電動車に関する会議で講演し、欧州企業のコンソーシアムが車載電池セル工場を建設する場合は総額10億ユーロの助成金を交付する意向を表明した。電動車の価値の約40%を占める電池分野でアジア、米国のメーカーに全面依存することは産業政策上好ましくないとみているためで、2030年の世界のセル生産に占める欧州のシェアを3分の1に引き上げる目標を打ち出した。

電池セルの分野では日韓中メーカーの競争力が高く、欧州メーカーはセル生産を行っていない。価格競争力が弱いことが最大のネックとなっている。アルトマイヤー経済相は製造コストの面で欧州が不利であることを認めながらも、電池のエネルギー密度、再生可能エネルギー電力を利用した環境に優しい生産、電池リサイクル、制御機能の高いスマートな電池といった点では高い競争力を示すことができるとの見方を示した。

車載電池の欧州コンソーシアムの結成に向けては現在、企業が協議を進めている。コンソーシアムは複数、作られる見通しで、早ければ年末から来年初頭にかけて立ち上げられる。同経済相はセルの需要が今後、急速に増える見通しを踏まえ、ドイツでのセル生産が21年に開始されるとの予想を示した。

同経済相に次いで登壇した欧州連合(EU)欧州委員会のマレシュ・シェフチョビチ副委員長(エネルギー同盟担当)は、セル工場は域内の複数の場所で同時に建設される必要があるとの見解を示した。また、ドイツはセル生産技術の開発で中核的な役割を果たすと明言した。

セル・コンソーシアムの設立協議を行っている企業は明らかにされていない。メディア報道では自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)や米フォードの独法人、電池製造の独ヴァルタ、独化学大手BASFの名前が挙がっている。

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