独西部のエッセン市とゲルゼンキルヘン市の大気浄化計画は効果が不十分だとして環境保護団体DUHがノルトライン・ヴェストファーレン州を提訴している裁判で、一審のゲルゼンキルヘン行政裁判所は15日、原告勝訴判決を下した。エッセンでは一定地域全体(ゾーン)、ゲルゼンキルヘンでは一部道路を対象に旧型車両の走行を禁止するよう言い渡している。旧型車両の走行禁止をドイツの裁判所から命じられたのはこれで計9都市となる。
欧州連合(EU)加盟国は窒素酸化物(NOx)の濃度を1立方メートル当たり40マイクログラム(年平均)以下に抑制することを2010年以降、義務づけられている。ドイツでは首都ベルリンを含む多くの都市で同規制を順守できない状況が続いていることから、DUHはそれらの都市の大気浄化計画を不十分として提訴。すでにシュツットガルト、フランクフルト、ベルリンなどに対しては走行禁止を命じる判決が下されている。また、ハンブルクは市内の通り2カ所を対象に5月末から旧型ディーゼル車の走行を行政措置で禁止している。
ゲルゼンキルヘン行政裁は今回、エッセン市について現在の環境ゾーンを旧型車両の走行禁止地区にするよう言い渡した。来年7月からまず、欧州排ガス基準「ユーロ4/」以下のディーゼル車と「ユーロ2/」以下のガソリン車の走行を禁じ、9月からは「ユーロ5/」のディーゼル車も追加するよう命じている。当該車両は同環境ゾーン内のアウトバーン(高速道路)A40号線も走行できない。アウトバーンを走行禁止の対象とする判決は今回が初めて。
ゲルゼンキルヘン市については、クルト・シューマッハー通りを旧型車両が走行することを7月1日から禁止するよう命じた。対象となる車両は「ユーロ5/」以下のディーゼル車と「ユーロ2/」以下のガソリン車。
州政府は走行禁止を行き過ぎた措置と批判していることから、判決を不服として控訴するとみられる。