独自動車大手首脳が米大統領と会談、現地投資拡大を約束

ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長など独自動車大手3社の代表は4日(米国時間)米ワシントンでトランプ大統領などと会談した。欧州連合(EU)との通商交渉を進める米国側の要請を受けたもので、フォルクスワーゲン(VW)とBMWは現地投資の拡大を確約。ダイムラーは米国側の要求に可能な限り沿う意向を示した。

ツェッチェ社長とVWのヘルベルト・ディース社長、BMWのニコラス・ペーター財務担当取締役はトランプ大統領、ロバート・ライトハイザー通商代表部(USTR)代表、ウィルバー・ロス商務長官、ラリー・クドロー国家経済会議院長と会談した。トランプ大統領との会談は穏やかな雰囲気で行われたという。

米国は対EUで年に650億ドルもの貿易赤字を計上していることから、その是正を求めている。ロス長官は会談直前のテレビ番組で、対EU貿易赤字の半分弱に当たる約300億ドルをドイツの自動車・自動車部品が占めていることを指摘。これを削減するためには独自動車メーカーによる米国生産の拡大が必要不可欠だとの認識を示した。同国での電動車生産を望んでいることも明らかにした。

VWのディース社長は米国側のこうした要望を踏まえ、提携先の米フォードの現地工場でピックアップと小型商用車を生産するほか、米国に電動車工場を建設するために用地を模索していることを明らかにした。コネクテッドカー用クラウドの開発に向けた米IT大手マイクロソフトとの戦略協業では現地雇用拡大効果が期待できることも強調した。

BMWは米スパータンバーグの完成車工場にこれまで計93億ドルを投資してきた。今後は2021年までに6億ドルを追加投資し、新規雇用1,000人を創出する意向だ。エンジン工場を米国に建設することも検討している。

ダイムラーのツェッチェ社長は調達分野で米サプライヤーを優遇する余地があるとの認識を示唆した。

欧州委員会のユンケル委員長とトランプ米大統領は7月の首脳会談で、自動車を除く工業製品の関税や非関税障壁の撤廃に向けて交渉を開始することで合意した。同大統領は米国による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限への対抗措置として、EUが報復関税を発動したことを受け、欧州車に20%の関税をかけて再報復する構えをみせていたが、交渉中は自動車の追加関税を発動しない方針で一致した。

だが、その後も輸入車関税引き上げの意向をツイッターで示唆するなど、諸外国をけん制していることから、独自動車3社は今回、そうした措置を回避するために米国投資の拡大方針などを約束した。

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