ドイツ連邦統計局が15日発表した2018年の国内総生産(GDP、速報値)は物価調整後の実質で前年比1.5%増となり、5年来の低い伸びを記録した。貿易摩擦や新興国経済の低迷を背景に輸出が振るわなかったほか、個人消費(最終民間消費支出)と政府最終消費支出の伸びが鈍化したことが響いた。プラス成長は9年連続。
投資活動は加速し、設備投資の増加幅は前年の3.7%から4.5%へと拡大。建設投資の伸び率も2.9%から3.0%へと高まった。建設投資では特に公共土木が大きく伸びた。
個人消費は1.0%増加したものの、上げ幅は前年の1.8%を0.8ポイント下回り2年連続で縮小した。政府最終消費支出の伸び率も1.6%から1.1%へと低下した。
GDP成長率1.5%に対する項目別の寄与度をみると、内需が1.7ポイントに上ったのに対し、外需(輸出-輸入)はマイナス0.2ポイントと足を引っ張った。輸出は2.4%増加したものの、輸入の伸びを下回ったことから、外需の寄与度はマイナスとなった。
内需では個人消費の寄与度がこれまでに引き続き最も大きく、0.5ポイントに上った。在庫が増えたことから在庫調整も0.4ポイントと大きい。設備投資と建設投資はともに0.3ポイント、政府最終消費支出は0.2ポイントだった。
統計局はメディアの問い合わせに対し、18年第4四半期(10~12月)の実質GDPが前期比でやや増加したことを明らかにした。ドイツ経済の景気後退局面入り(2四半期以上続くマイナス成長)は回避されたことになる。第3四半期(7~9月)のGDPは欧州連合(EU)の自動車排ガス検査方式の変更が響いて前期比で実質0.2%減少し、14四半期(3年半)ぶりのマイナス成長となっていた。
国(連邦)と州、市町村、社会保険機関を合わせたドイツ全体の財政黒字は前年(340憶ユーロ)を74.1%上回る592億ユーロ(暫定値)へと大幅に拡大し、過去最高を更新した。黒字計上は5年連続。堅調な経済と低金利が大きい。財政黒字の対名目GDP比率は前年の1.0%から1.7%へと上昇した。