自動車部品大手の独ボッシュは24日、自動車大手の独ダイムラーと共同運営する電動車用モーターの合弁会社EMモーチブを完全子会社化すると発表した。ダイムラーとの合弁だとEM製モーターの調達を嫌がる自動車メーカーもあることから、完全傘下に収めることで新規顧客を開拓する意向だ。オプション権を行使してダイムラーの持ち分50%を取得する。取引金額は非公開。独禁当局の承認を得て買収する。
EMは折半出資の合弁会社として2011年に設立された。当時は電動車の需要が小さかったことから、両社はそれぞれが単独でモーターを開発・生産するのリスクが大きいと判断。合弁を設立することでこの問題を回避することにした。ボッシュは合弁契約締結の時点で、ダイムラーの持ち分を取得するオプション権を確保していた。
EMは電気自動車(EV)とハイブリッド車(HV)向けのモーターを製造している。独北部のヒルデスハイムに本社があり、同市で生産。開発は独南部のシュツットガルトで行っている。同社製品はダイムラー、ポルシェ、フィアット、ボルボ、プジョー、ストリートスクーターなどに供給されており、累積生産台数は約45万基に達した。
自動車業界ではエンジン車に比べて部品点数が少ない電動車の今後の普及拡大に伴い、雇用の縮小が予想されている。ダイムラーの従業員代表(事業所委員会)はこの見通しを踏まえ、モーターを含む電動パワートレインを全面的に内製化して人員削減の規模を可能な限り小さくするよう求めていることから、同社はこの要求を踏まえてEMからの撤退を決めたもようだ。