自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は30日、VWブランド乗用車がドイツで受注した新車に占めるディーゼル車の割合が2018年は43%に上り、前年の39%から4ポイント上昇したと発表した。特に個人顧客からの受注が大きく増加。ディーゼル車の受注総数に占める個人顧客の割合は前年の15%から27%へと拡大した。多くの大都市で走行制限が避けらない見通しを受けてディーゼル車の販売減が続くなかで新規受注が増えた背景には、欧州連合(EU)の排ガス検査方式変更に伴う混乱を受けて、VWが市販できるガソリン車が一時、少なくなり、やむを得ずディーゼル車を購入する顧客が多かったという事情があるようだ。
EUでは排ガス規制が強化され、昨年9月1日以降に新車登録される乗用車は実際の走行に近い排ガスデータが得られる台上試験「世界統一試験サイクル(WLTP)」をクリアしなければならなくなった。
VWはWLTP試験に手間取り、一部モデルを9月以降、販売できなくなった。販売できるモデルに占めるディーゼル車の割合が高かったことから、ディーゼル車の受注比率が高まったとみられる。
デュースブルク・エッセン大学自動車研究センター(CAR)のデータをもとに『ヴェルト』紙が報じたところによると、VW車を発注した個人顧客に占めるディーゼル車を選んだ人の割合は昨年10-12月期(第4四半期)に41.8%となり、前期(7-9月期)の24%から大幅に拡大した。車両の選択肢が少なかったことから、多くの顧客がディーゼルモデルをやむを得ず発注したことがうかがわれる。