独高級車大手のダイムラーとBMWは28日、自動運転と先進運転支援システム(ADAS)を共同開発することで基本合意したと発表した。両社は情報通信技術を利用した移動サービス事業も合弁化することから、協力関係を拡大することになる。
ダイムラーは現在、サプライヤー大手のボッシュと共同で自動運転技術を開発中。BMWもコンチネンタル、インテル、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)などと同分野の共同開発でアライアンスを形成している。両社とも開発の成果を2020年代初頭にそれぞれの車両に投入する計画だ。
今回発表した提携はその次の世代の技術開発に照準を合わせたもの。第一弾として高速道路走行と駐車用の自動運転技術(米自動車技術協会=SAE=が定義する「レベル3」と「レベル4」)などを開発し、20年代半ばまでに実用化する考えだ。両社は高速道路でのより高度な自動運転技術と、市街地用の自動運転技術でも共同開発を行うことを協議する予定で、協力関係は長期化する見通しだ。
高級車市場でトップ争いを繰り広げる両社が手を結ぶ背景には、車両の電動・IoT化に向けた開発コストが膨らんでいるという問題がある。電動車、コネクテッドカー、自動運転車の技術開発を単独で行うことは財務的に不可能であることから、自動車各社は連携の動きを強めている。
自動運転のカギを握るアルゴリズムの開発でグーグルの子会社ウェイモが先行しているという問題も大きい。ウェイモの覇権を阻止するためには開発協業を通した技術革新の加速が必要不可欠となっており、独フォルクスワーゲン(VW)と米フォードも協業を検討する。
ダイムラーとBMWはコスト削減と開発加速効果を一段と高めるために、自動運転技術開発の提携企業を増やしたい考えだ。このため両社を軸に幅広いアライアンスが形成される可能性もある。