製薬・化学大手の独メルクと半導体材料大手の米バースームは8日、メルクがバースームを対象とする株式公開買い付け(TOB)の条件を引き上げることを明らかにした。バースームはこれまで、米特殊化学大手インテグリスと合併するとしてメルクによる買収を拒否してきたが、メルクがTOB条件引き上げの意向を示したことから方針を転換。インテグリスが11日までに新たな提案を行わなければ、メルクによる買収を正式に支持する意向だ。
メルクは2月末、バースームに買収提案を行ったが、バースームが受け入れを頑なに拒否したとから、3月下旬に敵対的なTOB方針を打ち出した。バースームはこれを受けてメルクとの協議を開始。今月3日と6日には両社の社長がニューヨークとミュンヘンで直に会談した。
メルクは協議のなかで、1株当たり買収金額を当初の現金48ドルから同53ドルへと引き上げる意向を示した。全株式を取得した場合の総額は約60億ドルから約65億ドルへと膨らむことになる。メルクの広報担当者はこれについて、バースームの財務を査定した後に買収価格引き上げの意向を伝えたと説明した。