半導体大手の独インフィニオンが中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への製品供給を一部停止した。華為を対象とした米国の制裁を踏まえた措置で、広報担当者は20日、英字誌『ニッケイ・アジア・レビュー』の報道を半ば追認する形で、米国で製造する製品の引き渡しを凍結したことを明らかにした。華為製のネットワーク機器を利用する電気通信大手のドイツテレコムも「調達戦略を現在、見直している」としており、米制裁の影響は同国の国境を越えて広がっている。独ペーター・アルトマイヤー経済相は広報担当者を通して、独企業が受ける影響を調査する意向を表明した。
米政府は17日、華為への製品供給を事実上、禁止する措置を発動した。許可を取れば供給できるものの、申請が承認される可能性はほとんどない。
インフィニオンは米国で製造する製品がこの規制の対象になると判断し、一部製品の供給を停止した。大半の製品は供給を継続しているものの、米国製部品・ソフトウエアの割合が価値ベースで25%を超える製品であれば、米国以外で生産したものでも同規制の対象となることから、華為に販売できなくなる製品は増える可能性がある。
インフィニオンが華為との取引で得る売上高は約1億ドルで、同社売上全体(70億ユーロ強)のごく一部にとどまる。このため同社が受ける経済的な痛手自体は小さい。
米国の政策の影響がドイツ企業に及んできたことについては独政府が神経をとがらせている。経済相の広報担当者は一般論と前置きしたうえで、「(他国の)国内法が国境を越えた効力を持つことを拒否する」との立場を表明した。ただ、「何らかの措置を現時点で取る必要性はない」としており、当面は様子見の姿勢を保つもようだ。華為への製品供給を部分停止したインフィニオンの措置についても「企業の決定にはコメントしない」との立場を表明した。