化学業界の低迷深まる、生産・売上見通し3度目の引き下げ

独化学工業会(VCI)は4日、独業界(製薬を含む)の2019年の業績予測を引き下げた。下方修正は3度目。国内と最大の国外市場である欧州での需要減少を踏まえたもの。VCIのハンス・ファン・バイレン会長(ヘンケルの最高経営責任者)は「独製造業の景気が下半期に回復するという見通しは当てが外れたままだ」と指摘。独・欧州市場の年内回復はもはや期待できないとの見方を示した。

VCIは当初、19年の業界生産高が前年比で1.5%増加すると予想していた。これを3月に3.5%減、7月に4.0%減へと下方修正。今回さらに6%減へと引き下げた。これを受けて、業界売上高も7月予測の「3.0%減の1,969億ユーロ」から「5%減の約1930億ユーロ」へと下方修正している。出荷価格については1%上昇するとした従来予測を据え置いた。

第2四半期(4〜6月)の業界生産高は前期比で0.7%落ち込んだ。洗剤と医薬品を除くすべての部門で減少。減少幅は特に石油化学品と誘導体(2.5%減)、ファイン・スペシャル化学品(2.3%減)で大きかった。医薬品を除いたベースでは前期を1.3%割り込んだ。工場稼働率は83.4%で、前期の84.1%から0.7ポイント低下している。

出荷価格が0.6%上昇したことから、化学・製薬業界の売上高は0.1%増の480億ユーロとわずかながら拡大した。国外売上が0.8%増加。国内は1.0%落ち込んだ。部門別では医薬品が3.9%、無機基礎化学品が3.0%伸びて全体をけん引した。その他の部門はすべて減少しており、医薬品を除いた売上高は1.0%縮小した。

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