世界初の水素直接還元鉄プラント、アルセロールミタルが神鋼子会社に設計委託

ルクセンブルクに本社を置く鉄鋼大手アルセロールミタルは16日、還元材に100%水素を用いる直接還元鉄(DRI)デモプラントの設計を神戸製鋼の米子会社ミドレックス・テクノロジーズに委託したと発表した。DRIプラント分野の枠組み合意に基づく措置の第一弾で、独ハンブルク工場に同プラントを設置する意向だ。水素を還元材とする工業規模のDRIプラントは世界で初めてという。

年産能力およそ10万トンのDRIプラントを設置する。当初は天然ガスから作った水素を投入。コストの低下と安定供給のメドが立ち次第、再生可能エネルギーを用いて作る、環境に優しい水素へと切り替える。洋上風力発電パークの電力を利用する意向だ。

欧州連合(EU)は二酸化炭素(CO2)の排出量を差し引きでゼロにする「カーボンニュートラル」を2050年までに実現する方針を打ち出している。アルセロールミタルが水素ベースのDRIプラント導入を目指すのはこれを踏まえたもので、シャルル・ドマール副社長(技術戦略担当)は、水素を還元材とするDRIプラントのプロジェクトは同社が現在、取り組んでいる他のプロジェクトと組み合わせることでEUのカーボンニュートラル目標実現に大きく寄与すると強調した。

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