ゲルベシャインが廃止に

ドイツ政府は18日の閣議で、事務手続きの簡素化に向けた法案を了承した。医師が発行する就労不能証明書(通称ゲルベシャイン)やホテルの宿帳をデジタル化するなどして、企業や被用者、市民の負担を軽減する。法案は連邦議会(下院)と州政府の代表で構成される連邦参議院(上院)の可決を経て来年1月1日付で施行される見通しだ。

被用者が病気になり仕事をできない状態にある場合、医師は就労不能証明書を発行する。証明書(ドイツ語でシャイン)には黄色(同ゲルベ)の用紙が用いられることから「ゲルベシャイン」と呼ばれている。

ゲルベシャインを受け取った被用者はこれを勤務先に送付する。これに要する時間は年に延べ1,900万時間、郵送コストは同7,700万ユーロに達し、被用者の大きな負担となっていることから、政府はこれを電子化し、送付の手間と費用負担をなくす意向だ。今後は問い合わせを受けた健康保険組合が病休の開始日と期間を被保険者の勤務先に電子文書で通知するようになる。同ルールは2021年1月1日付で導入される。

ホテルの宿帳はこれまで紙ベースのものしかなかった。今後は宿泊者の身元を確認する証明書があれば電子形式でも手続きを行えるようになる。

企業の納税事務負担も軽減する。具体的には、税務ソフトを変更した際の旧税務ソフト保持義務期間を従来の10年から5年へと短縮する。旧ソフトに保管されたデータに引き続きアクセスできることが条件となる。

政府はこれらの措置により企業や市民、被用者の負担が年11億ユーロ軽減されると試算している。負担軽減により、企業は労力を技術革新など他の分野に振り向けられるようになることから、ドイツの産業競争力が高まると政府はみている。

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