自動車部品のコンチネンタルが構造改革、従業員の約1割に影響

自動車部品大手の独コンチネンタルは25日、今後10年間の構造改革計画を発表した。世界の自動車生産が減少するなど経営を取り巻く環境が悪化する同時に、車両の電動・IoT化を背景に業界が大きな転換期を迎えていることから、経営資源を将来性の高い分野へと集中して、持続的な成長と財務の強化を実現する。これに伴い工場閉鎖などを実施。世界の従業員(24万4,000人)の約8%に当たる2万人が影響を受ける見通しだ。

同社は成長が見込める重点分野として(1)運転アシスト・自動運転(2)コネクテッドカー(3)移動サービスなどソフトウエアをベースとする総合システムソリューション(4)タイヤ事業(5)産業顧客・交換部品事業——を挙げた。今後はこれらの分野で事業を強化していく意向で、産業顧客・交換部品事業については売上高に占める割合を現在の約30%から40%へと引き上げていく。またソフト分野の従業員数を拡大する。

一方、市場の縮小が見込まれるエンジン車向け部品などの分野では事業を縮小していく。具体的には◇メーターパネルを手がける独バーベンハウゼン拠点での生産を2025年末で打ち切るほか、研究開発の一部を21年末までに他の拠点に移管する◇独ローディンゲンで手がけるガソリン・ディーゼル車エンジン向け高圧ポンプの生産・開発事業を24年に停止する◇独リンバッハ・オーバーフローナ拠点でのディーゼルエンジン用燃料噴射装置生産を28年で打ち切る◇伊ピサ工場でのガソリンエンジン用燃料噴射装置生産を23〜28年に終了する◇米バージニア州ニューポート・ニューズのガソリンエンジン用燃料噴射装置工場を24年に閉鎖する◇米ノースカロライナ州ヘンダーソンの油圧ブレーキ工場を閉鎖する◇マレーシアのプタリン・ジャヤ工場での商用車タイヤ生産を今年末で打ち切る——意向だ。このほか、工場のIoT化に伴って労力が不要となる業務分野でも人員削減を行う。また、事業の部分売却を実施する。

経営上の理由による整理解雇は可能な限り回避する意向で、同社は◇他の部署・拠点への異動◇退職による従業員の自然減の活用◇職場のなくなる社員を対象とする研修・再教育——などを行う意向だ。

構造改革の費用は計11億ユーロで、その大半を19〜23年に計上する。23年以降はコストを年およそ5億ユーロ圧縮できるとみている。

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