流通大手の独メトロは11日、中国子会社メトロ・チャイナを現地同業の物美(Wumei)に売却することで合意したと発表した。メトロはホテルや飲食店などの事業者向け事業に経営資源を絞り込む戦略を推し進めていることから、今回の取引に踏み切った。中国当局の審査を経て売却手続きが遅くとも来年第2四半期(4〜6月)に完了すると見込んでいる。
メトロ・チャイナを19億ユーロと評価して取引を行う。メトロは保有する同子会社株90%をすべて物美に譲渡したうえで、20%を買い戻すことから、メトロ・チャイナへの出資比率は20%に低下することになる。この取引でメトロには純ベースで10億ユーロ強の資金が入る。メトロ・チャイナにはメトロ以外の投資家が計10%出資しているが、これらの投資家も保有株を手放す。
メトロがメトロ・チャイナに出資を続けるのは、物美と戦略協業の可能性を追求するため。特に国際調達で大きなメリットを引き出すことができるとみている。
メトロはホテル、飲食店、ケータリング事業者、商業事業者向け事業に経営資源を絞り込む意向で、すでに消費者を対象とする郊外型大型スーパー子会社レアルの売却手続きを進めている。メトロ・チャイナも顧客に占める消費者の割合が高いことから手放すことにした。
メトロ・チャイナは中国で計97店舗を展開している。直近の売上高は27億ユーロで、営業利益(EBITDA)1億5,300万ユーロを計上した。