ドイツ銀が2四半期連続赤字に、組織再編費が圧迫

独銀最大手のドイツ銀行が30日発表した2019年第3四半期(7〜9月)決算の純損益は9億4,200万ユーロの赤字となり、前年同期の黒字(1億3,000万ユーロ)から大幅に悪化した。赤字は2四半期連続。組織再編に伴う費用が大きな圧迫要因となった。

同行は7月、コストを大幅に削減して安定的に利益を稼げる体制を構築するために、業績の足かせとなっている投資銀行部門を縮小する方針などを打ち出した。これに伴い新設した不良資産の受け皿機関「キャピタル・リリース・ユニット(CRU)」で税引き前赤字10億ユーロを計上。CRUを除いた「コアバンク」分野でも組織再編などで税引き前利益が3億1,500万ユーロ押し下げられた。

経常収益(売上高に相当)は15%減の52億6,200万ユーロへと大きく落ち込んだ。財務の改善に向けて株式取引事業から撤退したことなどが反映された格好。融資事業の貸倒引当金は95%増の1億7,500万ユーロへと大きく膨らんだ。

一方、ジェームズ・フォンモルトケ取締役(財務担当)同日のテレビ番組で、マイナス金利を顧客に転嫁することをすべての事業分野で検討していることを明らかにした。民間金融機関が余った資金を欧州中央銀行(ECB)に預け入れる際の金利(中銀預金金利)が従来のマイナス0.4%からマイナス0.5%への引き下げられたことを踏まえたもので、企業だけでなく一般顧客にも転嫁する意向だ。

ドイツでは現在、少なくとも計34の金融機関が一般顧客の預金にマイナス金利を適用している。その多くは預金額が極めて大きい顧客に限定しているが、ベルリン国民銀行(信用協同組合)はマイナス金利の適用ラインを10万ユーロと低く設定している。最大手のドイツ銀がマイナス金利を導入すると、他の金融機関が相次いで追随する可能性がある。

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