10秒後の交通状況を予測、VWが自動運転用ソフト開発

自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は6日、独北部のハンブルクで実施した自動運転車の公道走行試験で大きな成果を上げたことを明らかにした。10秒後の交通状況を予測できるという。同社はこの成果をもとに開発をさらに進め、2020年代半ばにも製品を市場投入する目標だ。

VWは3月、ハンブルクに設置された「自動運転車とコネクテッドカー用のテスト区間(TAVF)」で自動運転車の公道走行試験を開始した。試験にはVWの電気自動車(EV)「eゴルフ」5台を投入。歩行者や自転車など他の交通参加者や交差点、標識、他の車の車線変更など複雑な周辺環境を正しく不足なく認識できるようにするため、車両にはレーザースキャナー11個、レーダー7個、カメラ14個が搭載された。

試験車両にはVWが自ら開発したソフトウエアが搭載されており、莫大な量の交通情報をもとに、1秒間に何度も状況評価を実行。これにより交通状況の予測を行う。VWは「交通密度の高い大都市でも自動運転車が規則に従って走行できることを証明した」と強調している。

走行試験では制限速度を守らない自動車、車道にはみ出して駐車する自動車、赤信号を無視する歩行者、車線を逆走する自転車、センサーによる対象認識の障害となる道路工事現場など、公道でなければ得られない交通シナリオを実地に体験できた。

試験を行ったチームは今後、VWがこのほど設立した自動運転システム(SDS)の開発子会社フォルクスワーゲン・オートノミー(VWAT)で同ソフトの性能を一段と引き上げていく。シミュレーションを活用して交通シナリオの数を大幅に増やす意向だ。

VWは米自動車技術会(SAE)が定める「レベル4」の自動運転車(運転をシステムに全面的に任せることが可能)を2020年代半ばに実現することを目指している。

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