独風力発電設備大手のエネルコンで受注が激減していることが8日、明らかになった。国内市場の低迷が響いており、同社とサプライヤーで最大3,000人の人員整理が避けられない状況だ。
エネルコンは風力発電設備の世界6位メーカー。ハンスディーター・ケットヴィヒ社長によると、今年1〜10月の新規設置件数は前年同期を約90%下回る65基へと減少。1990年台初頭以来の低水準へと落ち込んだ。
これを受けて独アウリヒとマクデブルクにあるサプライヤーのブレード工場では受注が底をついている。このため、両地のサプライヤーとアウリヒにあるエネルコンの本社で計3,000人の人員削減が行われる見通しだ。
国内市場が低迷しているのは、陸上風力発電の◇認可手続きが長期化している◇用地確保が難しくなっている◇設置プロジェクトに反対する住民が各地で訴訟を起こしている——ためだ。政府は今年、陸上風力発電で計2,500MWの助成金入札を実施するが、応札規模はその半分にも達しないと予想されている。政府は住宅地と風力発電パークの距離を最低1キロにするという新規制の導入を目指しており、これが実現すると国内のパーク建設は一段と停滞する恐れがある。
風力発電設備業界では再生可能エネルギー電力の助成額削減や競争激化の影響もあり経営環境が悪化しており、4月には独センヴィオンが経営破たん。独シーメンス傘下のシーメンス・ガメサは9月からこれまでに計1,200人の人員整理方針を打ち出した。デンマークのヴェスタスは独北部のブレード工場で従業員500人を削減する。独ノルデックスは資金繰りが悪化しており、筆頭株主であるスペインの再生可能エネルギー企業アクシオナに買収される可能性がある。