特殊金属大手の蘭AMGアドバンスド・メタラジカル・グループは14日、水酸化リチウムの精製施設を独東部のツァイツに建設すると発表した。車載電池向けに純度の高い製品を製造する。ドイツでは自動車メーカーが電動車の生産を今後、本格化することから、需要を取り込む意向だ。
ツァイツ精製所を2〜3年後に開設する。現在は基本設計段階にある。独子会社AMGリチウムは同精製所の建設に向けてこのほど、フランクフルトのヘキスト地区に水酸化リチウムと電池材料の研究施設を開設した。ツァイツ精製所とヘキストの研究施設の投資額は計5,000万〜6,000万ドルに上る見通し。
同精製所の生産能力は明らかにされていない。業界関係者は電動車専門サイト「エレクトライブ・ネット」に、車載電池市場規模が世界で最も大きい中国の工場に比べると小さいとの見方を示した。
ドイツでは中国の車載電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)がエアフルトに年産能力14ギガワット時(GWh)のリチウムイオン電池セル工場を建設中。高級車大手のBMWに製品を供給することが決まっている。
自動車大手フォルクスワーゲン(VW)はスウェーデンの電池スタートアップ企業ノースボルトと共同で独北部のザルツギターに年産能力16GWhのセル工場を建設し、2023年末〜24年初頭に操業を開始する。
仏自動車大手PSAと独子会社オペル、エネルギー大手の仏トタル、およびトタルの電池子会社サフトからなる企業連合は独仏政府の支援を受けて両国にセル工場を設置する計画だ。公的支援を受けてセル工場を建設する動きはこのほかにもあり、欧州の車載電池市場は今後の成長が確実視されている。