独スタートアップ企業イエナバッテリーズは6日、有機レドックスフロー電池(ORFB)を年内に市場投入すると発表した。ORFBの商業化は世界初。化学大手BASFの協力を受けて開発に成功した。
ORFBは、大型で寿命が長いことから定置利用に適しているレドックスフロー電池(RFB)の一種。従来のRFBが無機物質である金属を電解液に用いるのに対し、有機物質を用いるのが特徴だ。
従来のRFBに用いられるバナジウムなどの金属は資源枯渇のリスクがあり、価格が上昇していることから、低コストで量産できる有機物質ベースの電解液を用いたORFBの開発が世界で進められている。
イエナバッテリーズは、発電量が天候に大きく左右される再生可能エネルギー電力を蓄えるためのORFBを発売する。同電池は需要を上回って発電された再生エネを蓄えるとともに、電力の供給が不足しそうな場合は送電網に供給し、需給の調整を図ることになる。電解液に有機物質を投入することで、販売価格を低く抑えることができるとしている。
BASFはイエナバッテリーズのORFBに用いる2種類の電解液のうち1種類を生産・供給する。同電解液は有機物質アミンをベースとしている。
イエナバッテリーズは独中部のイエナに拠点を置く2012年設立の企業。大型蓄電池を専門に手がけている。