独テューリンゲン州のトーマス・ケメリッヒ新首相(自由民主党=FDP)は6日、州議会を解散するとともに辞任する意向を表明した。前日の州首相指名選挙で選出された際に、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持を受けたことが大きな波紋を呼んだためで、「AfDの支持という穢れを首相職から除去する」ことが狙いだと説明した。
ケメリッヒ首相は州議会の指名選挙で、AfDおよび国政与党キリスト教民主同盟(CDU)の支持を受けて首相に選出された。AfDにはナチスに共鳴する党員も少なくないことから、同党の支持を受けて新首相が誕生したことはドイツの政界に大きな衝撃をもたらした。メルケル連邦首相(CDU)は同指名選挙の取り消しに賛成する意向を表明。ケメリッヒ首相が属するFDPからも批判が出ていた。
ケメリッヒ首相は6日午前の時点では職務の行使に意欲を示していたが、強い圧力を受けて考えを改めた。
州議会を解散し総選挙を行うためには議員の3分の2以上の賛成が必要となる。これには左翼党、社会民主党(SPD)、緑の党、FDPに加えて、州首相指名選挙でケメリッヒ氏を支持したCDUないしAfDのどちらかが賛成する必要がある。CDUのテューリンゲン州支部はこれまでのところ解散・総選挙に反対しており、これが実現するかは不透明だ。
州首相の信任投票が否決され、その3週間以内に新たな首相が選出されない場合も州議会が解散されることから、ケメリッヒ首相は議員3分の2以上が解散・総選挙に賛成しない場合、信任投票を行うとしている。