ダイムラーが役員の権限再編、経営戦略のスムーズな展開に向け

自動車大手の独ダイムラーは20日、役員の権限を変更することを明らかにした。役員間の権力闘争やコーディネート不足が業績不振の大きな原因となっていることから、オラ・ケレニウス社長と一部の取締役の権限を拡大し、経営戦略をスムーズに展開できる体制を構築する狙いだ。4月1日付で権限を再編する。

ダイムラーは昨年11月1日付で持ち株会社へと移行した。市場と顧客ニーズの変化に柔軟かつ迅速に対応できる体制の構築が狙いで、◇ダイムラー本体を持ち株会社化◇乗用車とバンの2部門を新子会社メルセデスベンツに統合◇トラックとバス部門も新子会社ダイムラー・トラックへと統合◇金融サービス子会社ダイムラー・ファイナンシャル・サービシズの社名をダイムラー・モビリティへと改編——した。

だが、役員間の対立や統制力の弱さなどが原因となり、新体制の所期の狙いを実現できる見通しが立たないことから、役員権限の見直しに踏み切った。ダイムラーのケレニウス社長(メルセデスベンツ社長を兼任)は新たに、業績の大きな足かせとなっているバン部門を直轄。これまで同部門を統括してきたダイムラーのヴィルフリート・ポルト取締役の権限はグループ全体の人事へと縮小される。

乗用車部門メルセデスベンツ・カーズ(MBC)では今後、製品開発と調達、製造をダイムラーのマルクス・シェーファー取締役(グループ全体の研究とMBCの開発担当)が一手に統括する。これまでは各車種の開発チーム間のコーディネートが不足し、規模の効果が妨げられていたという事情が背景にある。

金融サービス分野ではダイムラーのハラルト・ヴィルヘルム取締役(金融・モビリティ担当)とメルセデスベンツのフランク・リンデンベルク取締役が権力闘争を繰り広げてきた。今後はダイムラー、メルセデスベンツ両社の金融の権限をヴィルヘルム氏に集約。リンデンベルク氏は3月末付で退任する。

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