マスク着用を10州が義務化

ドイツの16州のうち10州が新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためにマスクの着用を義務付けることが、21日までに分かった。国と州は先ごろ、マスクの着用を奨励することを決議したが、強制力がないと着用率が高まらず感染拡大を防げない懸念があることから、これらの州は独自の政策として義務化に踏み切る。

同国ではメルケル連邦首相と国内16州の首相が15日の電話会議で、新型コロナの感染拡大を防ぐために3月から導入している規制を一部解除することを決めた。これにより店舗面積800平方メートル以下の小売店はすべて営業を再開できるようになった。この規制緩和に伴い人と人が近接するリスクが高まることから、同会議では、1.5メートルのソーシャル・ディスタンスを保つのが難しい公共交通機関などでマスクの着用を強く奨励することも決議した。

非医療用のマスクには新型コロナの感染を防ぐ効果はない。ただ、感染者が着用すると他人を感染させるリスクが低下することから、感染拡大を鈍化させる効果は期待できる。

独東部のザクセン州はこれを踏まえ、20日から着用を義務付けた。近距離公共交通機関と小売店の利用者は口と鼻をマスクやマフラー、布なので覆わなければならない。今後はザクセン・アンハルト、テューリンゲン、バーデン・ヴュルテンベルク、バイエルン、ベルリン、ハンブルク、メクレンブルク・フォーポマーン、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン、ヘッセン州でも同様の措置が導入される。

ドイツは中央集権制のフランスなどと異なり州が比較的強い権限を持つ連邦制を採用しており、各州は幅広い分野で独自の措置を実施することができる。10州は州の権限に基づいてマスク着用を義務化する。

一方、デュッセルドルフを州都とする国内最大のノルトライン・ヴェストファーレン州はマスクが不足している現時点で義務化することは好ましくないとして導入しない意向を示している。ただ、同州北部のミュンスター市は27日から装着を義務付ける。

ドイツでは全国に先駆けてイエナ市がマスクの着用義務を6日に導入した。その効果で、同市では少なくとも20日まで11日連続で新規感染者が出ていない。

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