キリスト教民主同盟(CDU)、キリスト教社会同盟(CSU)、社会民主党(SPD)の独与党3党は23日未明、新型コロナ危機に直面する被用者と企業を支援するための新たな政策を取り決めた。これまでに実施した措置では十分な効果が得られないと判断したため。SPDのノルベルト・ヴァルターボルヤンス党首によると、追加支援の総額は100億ユーロに上る。
政府は新型コロナウイルスの感染拡大や感染拡大防止政策の影響で経営が悪化した企業や個人事業主に融資、融資保証、補助金交付などを行うことを決定し、すでに実施している。ただ、営業禁止で収入の途絶えた企業や操短・失業で家計が大幅に悪化した世帯は依然として生存の危機にさらされており、追加支援を求める声が強まっていた。
特に飲食店は感染リスクが高いことから、営業禁止措置を解除する見通しが立っておらず、状況は厳しい。与党はこれを踏まえ今回、外食に課す付加価値税の税率を7月1日から来年6月末までの1年間、本来の19%から7%(軽減税率)に引き下げることを取り決めた。CDUのマルクス・ゼーダー党首(バイエルン州首相)はこれに絡んで、少なくともバイエルン州では5月末~6月初頭まではレストランの営業禁止を解除しない考えを表明。軽減税率の適用を決めたことは飲食店の即時再開を認めることを意味しないと強調した。
与党はまた、中小企業が今年計上する赤字を昨年の納税額と相殺して、税還付を受ける時限ルールの導入で合意した。本来のルールでは今年の赤字は来年に繰り越して相殺しなければならないが、それでは資金繰りが悪化して経営破綻する企業が大幅に増えることから、今年限りの特別ルールを導入する。
3党はこのほか、操短手当と失業手当に関する時限ルールを取り決めた。
操短手当は操業短縮で目減りした賃金の60%ないし67%を連邦雇用庁(BA)が肩代わりで支給する制度。67%の肩代わりが適用されるのは子供のいる被用者で、そのほかの被用者は60%となっている。与党はこの比率をそれぞれ最大で87%、80%に引き上げることを決めた。肩代わり比率の上乗せルールが適用されるのは操短で労働時間が50%以上、減少した被用者で、同比率は操短4カ月目から77%(70%)、7カ月目から87%(80%)へと上昇する。
失業手当については、受給期限が今年5月~12月に切れる失業者を対象に受給期間の上限を3カ月、延長する意向だ。