世界経済のグローバル化が進展する時代は過ぎ去ったとする見解を、バイエルン州立銀行とコンサルティング会社プログノシスが共同調査の結論として打ち出した。輸出をけん引車とするドイツの経済成長モデルを見直すべきだと提言している。調査レポートを入手した『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が26日付で報じた。
世界の貿易は現在、米中通商摩擦と新型コロナ危機を受けて低迷している。同レポートによると、この状況は一過性の現象にとどまらない可能性がある。
背景には2008年の金融危機以降、製造業を中心とする資本集約型の社会から機械などのニーズが少ないサービス中心型の社会への転換が、欧米だけでなく東アジアでも進んでいることがある。バイエルン州立銀のチーフエコノミストであるユルゲン・ミシェルス氏は、これまで世界経済をけん引してきた巨大市場の中国でその傾向が鮮明になっていることから、「2000年代のようなグローバル化がコロナ危機後に再来することはない」と断言。ドイツ企業はこの変化を踏まえ、人口と1人当たりの所得が急速に増加している中国以外の市場開拓を強化すべきだと指摘した。そうした市場としてインド、イラク、フィリピン、ベトナム、エジプト、インドネシア、ナイジェリアを挙げている。
ただ、これらの市場は中国市場縮小の穴を相殺するには規模が小さ過ぎることから、独企業は事業モデルを改める必要があるとしている。