ドイツのイエン・シュパン保健相と国内16州の保健相は24日の会議で、空港内に新型コロナウイルス感染の有無を調べるテストセンターを設置することで合意した。国が危険地域に指定する国からの帰国者がテストを受けやすい体制を構築し、感染の「第二波」が発生しないようにする狙いだ。
ドイツではロベルト・コッホ研究所が危険地域に指定した国(現在およそ130カ国)からの入国者に2週間の自主隔離を義務付けている。だが、このルールを順守しない人は多い。バカンスシーズンを迎えエジプトやトルコなど危険地域の観光地に旅行する市民が増えていることから、現状を放置すると国内の感染者数が再び急増する恐れがある。3月以降に感染者数が大幅に増えた際はイタリアやオーストリアからの帰国者が起点となったことから、当局は国外からの観光客の帰国に神経をとがらせている。
保健相会議ではこうした事情を踏まえ、空港内にテストセンターを設置することを取り決めた。空港で手軽にテストを受けることができれば、帰国者の多くが利用すると予想されるためだ。感染していないことが確認された人につては自主隔離を免除する。テスト料金は無料。
保健相会議のディレク・カライチ議長(ベルリン州保健相)は記者会見で、リスク地域以外からの帰国者も感染の有無を帰国後72時間以内にテストするよう呼びかけた。ただ、これらの帰国者は空港内のテストセンターでなく、空港外の施設を利用することになる。これについてもテスト料金の負担義務を免除する。
会議ではこのほか、感染経路を追跡できるようにするために、危険地域からの入国者を対象とする所在追跡・健康質問票の再導入を決めた。旅客機だけでなく、船舶、鉄道、バスで入国する人にも記入を義務付ける。また、乗用車で入国する旅行者などを対象に抜き取り方式で国境検査を実施。危険地域からの入国者がいた場合は2週間の自主隔離義務を伝える。