独仏両国は国境地域の一部で入国検査を強化することで合意した。フランス東部のモゼル県で新型コロナウイルスの変異種が流行していることを受けた措置。同県と独ラインラント・ファルツ、ザールラント両州の国境を通過する人に3月1日から陰性証明の提示を義務付ける。オリビエ・ベラン仏保健相が25日、明らかにした。
モゼル県では従来種に比べ感染力の高い南アフリカ種が流行している。人口10万人当たりの直近7日間の新型コロナ新規感染者数は310人と極めて高い。
ドイツ政府は南ア種や英国種など感染力の高い変異種が流行している国・地域を「新型コロナウイルス変異種地域」に指定し、ドイツの国籍保有者や在住資格保有者などを除き入国を原則的に禁止している。2月中旬にはスロバキア、オーストリアのチロル州とチェコを同地域に指定。国境を接するチロルとチェコでは国境検査を開始したことから、入国審査待ちの渋滞が発生している。
ドイツは感染の第1波が始まった昨年3月、フランスなど5カ国との国境を封鎖した。物流や通勤は対象外としたものの、フランスからラインラント・ファルツ、ザールラントへの通勤者は実際には入国に毎日、苦労した。このためフランス人の対独感情がやや悪化するという問題が発生していた。
両国は今回、そうした事態を避けるために高官レベルで早い段階から協議を行い、今回の合意に至った。国境検査は強化されるものの、発行後72時間以内の陰性証明(PCR検査)があれば国籍や在住資格の有無にかかわらずモゼル県-ラインラント・ファルツ、ザールラント両州間の国境を双方向で通過できる。国境を超えて通勤する人はPCR検査を週に一度、受ければよい。